炭水化物は、運動中に使われる主要なエネルギー源であり、筋肉や肝臓にグリコーゲンとして貯蔵されます。カーボ・ローディングの目的は、このグリコーゲン貯蔵量を最大化することで、運動中に筋肉がすぐに利用できるエネルギー源を豊富に確保することです。
しかし、ほとんどのアスリートは、グリコーゲンの貯蔵量を最大限にするためにどれくらいの炭水化物が必要なのかを正確に認識していません。その結果、最適なグリコーゲン量ではない状態でイベントや試合に臨んでしまうことが少なくありません。具体的に必要な炭水化物の量と、カーボ・ローディングの段階を最適化するための実践的なヒントをご紹介します。
カーボ・ローディング:どれくらい摂るべき?
競技の24時間前に、体重1kgあたり10gの炭水化物を摂取することで、グリコーゲン貯蔵量を最大化できることが分かっています。これは、身体活動やトレーニング量を減らすテーパリングと組み合わせて行う必要があります。
例えば、体重70kgのアスリートであれば、最大で700gもの炭水化物が必要になる計算です。実際には、これだけの量を食物から摂取するのは非常に難しく、多くのアスリートにとって大きな課題となるでしょう。この課題を克服するためには、カーボ・ローディングの段階で炭水化物を含むドリンクを補給することをおすすめします。これにより、炭水化物の目標達成が容易になる可能性があります。また、低繊維質の食品を選ぶことで、満腹感を抑え、必要な量を食べやすくなるでしょう。
以下に、この期間におすすめできる、50gを超える炭水化物を含む食品をいくつかご紹介します。
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炭水化物源 |
量 |
炭水化物含有量 |
|---|---|---|
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白米 |
200g | 60g |
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じゃがいも |
300g | 50g |
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パスタ |
150g | 50g |
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オレンジジュース |
500ml | 50g |
| シリアル | 60g | 50g |
| スポーツドリンク | 500ml | 65g |
| バナナ | 大2本 | 50g |
長期間にわたるカーボ・ローディングの選択肢
あるいは、24時間で摂取する必要のある食物の量を減らすために、より長い期間にわたってカーボ・ローディングを実施することもできます。多くのアスリートには、体重1kgあたり1日5〜7gの炭水化物を3日間摂取する方法が適しているかもしれません。これも同様に、身体活動のテーパリングと組み合わせて行う必要があります。
イベント直前の栄養戦略
カーボ・ローディングの段階が完了したら、イベントや試合の4時間以内に、体重1kgあたり1〜4gの炭水化物を摂取することに集中することが重要です。先ほども述べましたが、消化を速めるために、この食事や軽食は食物繊維と脂肪が少ないことが重要です。
白米と鶏肉、パスタと鶏肉、じゃがいもとターキーなどの食事がこの時期に最適です。レースや試合の前に炭水化物を摂るタイミングと炭水化物源は、必ず事前に試しておくべきです。これは非常に個人差が大きいので、競技の前に試しておくことで安心してレース当日を迎えることができます。
低炭水化物・高脂肪ダイエット(LCHFD)との比較
最後に、低炭水化物・高脂肪ダイエット(LCHFD)がアスリートの間で人気を集めていることにも触れておきましょう。ただし、LCHFDは、高強度の運動パフォーマンスをサポートする上で、高炭水化物ダイエットほど効果的ではない可能性があることを理解しておくことが重要です。

