怪我は、トレーニングレベルや量、鍛え方に関わらず、誰にでも起こり得るものです。怪我をした時は、意気消沈し、ひどく落ち込んでしまうこともありますよね。そして、多くの場合、身体を癒すよりも、心を慰めるような食べ物に手が伸びてしまいがちです。
回復段階に応じた栄養戦略
栄養に関する推奨事項は、クライアントの動きの障害の程度、活動量の低下、筋肉量の減少、筋力、機能の程度に応じて具体的に定める必要があります[1]。以下の3つの回復段階のどれに該当するかによっても変わってきます。
- 炎症期:最初の損傷から4〜6日後に発生します。痛み、腫れ、炎症が特徴で、免疫細胞が治癒のために患部に集まってくる時期です。
- 増殖期:最初の損傷から4〜14日後に発生します。損傷した組織が除去され、新しい組織が再生される時期です。
- 再構築期:1週間から1年の間に発生します。強力な永久組織が再生・再構築される時期です。
エネルギー必要量について
身体活動が減少しても、身体は治癒過程にエネルギーを必要とすることをクライアントが理解することも大切です。怪我の治癒を促進するためには、毎日の推定エネルギー必要量に100~500kcal(10~15%)の増加を含める必要があると推定されています[1]。これにより、治癒が促進され、筋肉量が維持されると同時に、活動量が少ない時の体脂肪の過剰な増加リスクが軽減されます。
通常のジム利用者の場合、これは100~200kcalの増加に相当しますが、怪我の重症度や動きの障害の程度によって異なります。
回復の鍵となる栄養素
タンパク質は、回復過程で最も重要な栄養素の一つです[2]。筋肉組織を修復するために不可欠な要素を身体に提供する必要があるだけでなく、筋肉は損傷するとタンパク質の同化特性に対する感受性が低下します[3]。
したがって、1日あたりのタンパク質摂取量を体重1kgあたり1.6〜2gに増やすことをお勧めします。これを、20~30gのタンパク質を4〜6回に均等に分け、ロイシン含有量の高い消化の速いタンパク質で構成することが理想的です[4]。

その他の重要な栄養素
脂肪、炭水化物、果物、野菜、ハーブ、スパイス、そして特定のサプリメントといった他の食品も、身体に治癒に必要な栄養素を提供し、迅速な復帰を促進します。
以下のインフォグラフィックを活用して、治癒過程を促進するために食事に含めるべき食品についてクライアントにアドバイスしましょう。

【重要事項】
この記事はOptimum Nutrition for Health and Performanceコースを補足するもので、教育のみを目的としています。これはGlanbia Performance Nutritionの意見を反映したものではなく、製品のマーケティングを目的としたものでもありません。
出典元:
- Quintero et al., 2018. An overview of nutritional strategies for recovery process in sports-related muscle injuries. Nutire.
- Tipton KD., 2015. Nutritional Support for Exercise-Induced Injuries. Sports Med.
- Wall BT, et al. Disuse impairs the muscle protein synthetic response to protein ingestion in healthy men. J Clin Endocrinol Metab.
- Phillips SM, Van Loon LJC. Dietary protein for athletes: from requirements to optimum adaptation. J Sports Sci.

